昔見たところとはまるで別世界です

現在、有料老人ホームに入居しています。
早いもので、私もそんな歳になったのだと月日の経つ早さを感じます。
今とても幸せなのですが、こんなに幸せでいいのだろうかと思います。
それは過去に見た衝撃的場面によります。
昔私は、ある人のお見舞いに老人ホームへ行きました。
昔の老人ホームは、全てが全てそうではないかもしれませんが、人里離れた山の中などにありました。
私の訪れた老人ホームはまるで廃墟のようで、枯れたつるが絡みつくように建物を覆い、その何とも言えない雰囲気に中に入るのに身震いしました。
ここに本当にご高齢の方が住んでいるのだろうかと思いました。
そして中へ入りますと、大きなフロアにまるで災害時の混乱した救護風景のように、床に敷かれた薄い布団に横たわるご高齢の方々がいらっしゃいました。
そしてそれだけでも衝撃的ですのに、何とその方々は手足を紐で縛られていました。
それは認知症で徘徊するなどが理由だそうですが、当時はそういった身体抑制に関する規制が緩やかだったそうで、そのようなことがまかり通っていたそうです。
私はその光景に足がすくむようなショックを受けながら、お見舞いの相手のところへ向かいました。
するとその人の手足も拘束されていて、手の平には粘土のような垢が溜まり、悪臭を放っていました。
そんな当時の数々のショッキングな光景を、今恵まれ過ぎている老人ホームの環境に居ながら何度も思い返します。
そして毎日がリゾートホテルに居るような暮らしを老後に送っている自分に、罪悪感を感じます。
あの頃何故、人生の諸先輩方にあのような晩年を遅らせることがまかり通っていたのかと、何も起こせずぬくぬくと今贅沢を極める暮らしに身を置いている自分に複雑な思いです。
しかしそんな今の幸せがあるのは、そういった過去があったことへの償いとも感じ、今の老後の幸せはそんな方々の犠牲があってのことと、思わなくてはいけないとも思います。
毎日の幸せに感謝させて頂きながら、最期までその方々のことを思いながら過ごして行きたいです。